尼海崎灯台(あまみさき とうだい)

尼海崎にはこのような言い伝えがある。
昔、尼海崎の海には夜叉が住むといわれた。海で遭難し亡くなったものは、夜叉の供物となる。
夜叉は漁師たちを襲い、亡骸を魚へと変えさせ、魚に釣られ新たに漁へ出た漁師を惑わし、食らっていた。
しかし、男たちが減ったことで漁業は徐々に衰退し、村は廃村寸前まで追い込まれてしまう。
見かねた海神が降り、次のように言った。
「神聖な海へ女人が入ることを許す。また、男たちが迷わず帰れるよう、灯を置け。」
これを受けて、村の女性たちは海へ出るようになり、老いたものは松明を掲げて火の番を行うようになった。
女性たちは慈悲深い海神を祀り、やがて尼と呼ばれる神官になった。
そして火の番は灯台へと置き換わり、老いた尼が海を見守る灯台、『尼海崎灯台』となったのである。
尼海崎灯台からは、水平線に沈む夕日が見ることができる。日本の夕日百選に数えられる絶景だ。

夜叉の大空ろ(やしゃのおおうつろ)

夜叉を産み落とした豊穣の大樹であると言い伝えられている。
山間部を切り開く際、誤ってこの大樹に傷をつけたことから、弱った樹には大きな穴が開いてしまった。
母親を傷つけられ怒った夜叉は住処の山から海へ飛び出し、漁師たちに悪さを働いたという。
海神の助言により大樹を祀ってからは、知恵と育みの神となった夜叉が空ろの中で町の子供と遊ぶようになった。
大空ろのある仙来山(せんらいさん)は、山百合などの咲く散策スポットとして人気を博している。
また、山頂から見える朝焼けは非常に美しく、初日の出の際は全国中継を行うテレビ局もある。

白薔薇園(しろばらえん)

この土地は明治時代、鷹城(たかしろ)一族の庭だったと言われている。
鷹城の庭は美しい白薔薇が咲く事で有名であったが、ある日、庭師が一本だけ咲いてしまった赤い薔薇を見つけた。
何度抜いても同じ場所から赤い薔薇が生えてくるので、不思議に思い主人に尋ねると、
「先代の当主が口づけをした薔薇が、主人に恋をして赤く染まったのだ」と答えた。
嘘か真か、今でも白薔薇園には赤い薔薇が咲いている。
白薔薇園の赤い薔薇には「私にくちづけて」という花言葉があり、女性が愛を告白する際のマストアイテム。
敷地内には鷹城一族の屋敷も残されており、当時の暮らしを知ることのできる資料館として開放されている。




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